すりこぎダイアリー

世の中すりばち

マルチガス対応ダイブコンピューター


トライミックス、ナイトロックスに対応したテクニカルダイビング向きのダイブコンピューター、Liquivision Xeo を入手しました。一般的なダイブコンピューターが減圧不要限界間内での潜水を前提とした物なのに対し、こちらは減圧ありきのダイブコンピュターです。減圧不要限界時間もちゃんと表示されますので減圧不要限界内での潜水用としても使用できます。LiquivisionはX1というダイブコンピューターで有名ですが、Xeoはその廉価版という位置づけだと思います。X1の定価が$1399CADに対し、Xeoは$999CADとなっています。またX1はファームウェアが別売りですが、XEOはZH-L16C algorithm(w/ Gradient Factors)をベースにしたファームウェアがプリインストールされています。Xeoパッケージに書いてある売り文句は:

視野角170°のフルカラー有機ELディスプレー
タップによる操作
セラミック水圧センサー
10種類までのガスを登録可能
OC、CC(Fixed PO2)、ゲージの3モード
ダイブプラナー、ダイブシュミレーター内蔵
プリインストールされたBuhlmann-GF algorithmのファームウェア

となっています。

X1では単色だった有機ELディスプレーがXeoではフルカラーに変更されています。タップによる操作(ボタンが無い)はX1同様。X1では2個のセラミック水圧センサーで冗長化されているのに対し、Xeoは1つのみになります。またXeoはCCモードに対応しているものの、CCRに接続するためのインターフェイスが用意されておらずPO2等をリアルタイムでモニターすることは出来ません。

X1とXEOの違いについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
http://liquivision.com/docs/Compare_X1_Xeo_Xen.pdf



X1の筐体が削り出しのアルミ製なのに対しXeoはプラスチック製になります。見た目は結構安っぽい印象を受けます。大きさの比較にTUSAのIQ-700と並べてみました。この写真ではバンジーを取り付けてありますが、通常の時計バンドも付属しています。バンジーは残念ながらこれより太い物は取り付けできません。



PCへの接続はこのインターフェイスが必要です。別売りで定価$84CADです。PC本体へはUSBで、インターフェースとXeoは赤外線で通信します。PCへのログのダウンロード、ファームウェアのアップグレードにはこのインターフェイスが必要です。Windows、Mac OSXに対応していますが、これを書いている時点ではまだOSX用のソフトは供給されていません。



もう一つのX1との違いはバッテリーです。X1が充電式のリチュームポリマーバッテリーなのに対し、Xeoは使い捨てのリチュームバッテリーです。ER14335-Mという型で日本国内での入手は難しそうです。気になるバッテリーの持ちですが、マニュアルには約6時間~41時間とあります。バッテリーの持ちは表示色、リフレッシュレート、明るさに依存し[表示色:緑、リフレッシュレート:Low、明るさ:Low]で約41時間、[表示色:青、リフレッシュレート:High、明るさ:High]で約6時間となっています。詳しくはマニュアルに明記されていますのでそちらをご参照下さい。マニュアルはLiquivisionのウエブサイトでダウンロード可能です。


では操作画面を少し見てみましょう。


Xeoにはボタンが一切無い為ナビゲーションは本体の上下左右をタップする事で行います。本体を起動させる際には上を3回タップ(設定で5回に変更可能)します。上の写真がメインメニュー、下の写真が表示色の設定画面です。



シュミレーターを起動させているところです。水中での表示はこの様になります。レイアウトは現在1つしか提供されていませんが将来的に複数のレイアウトが用意される予定だそうです。このレイアウトで実際に水中で使用しましたが今まで使っていたIQ-700と比べると格段に見やすかったです。このシュミレーションでは空気の設定で水深68Mに行っているのでPO2の警告が出ています。



水中でガスを切り替える時は起動時同様に本体上を3回タップするとこの画面になります。"Change Gas"を選択し、登録してあるガスを選べぶだけです。週末に潜った際に水中でガス切り替えの操作を実際にしてみましたが、素手でもグローブ装着時でも特にストレス無く実行できました。




デコの設定画面とガスの登録画面です。ガスは10種類まで登録しておくことが出来ます。画面では99%ナイトロックスがdive用のガスとして間違って登録されていますが、ガスはそれぞれdive用、deco用、backup用として登録することが可能です。



こちらはアラームの設定画面。浮上速度と潜降速度は水深毎に複数登録することが出来ます。






ダイブログの画面です。最大水深や平均水深は勿論、CNSやOTU等も表示されるので便利です。またダイブプロファイルをPCに接続すること無く確認出来るのも便利な機能だと思います。


現時点でのファームウェアバージョンは1.07、3回目のアップデートです。発売されてまだ間もないのでまだファームウェアにバグ等あると思いますが、今後のバグ修正と機能追加に期待しています。今のバージョンは水面到着までにかかる時間は表示されます。でも気になるのは時間よりガス量、SACを登録しておいて水面到着までに必要なガス量を計算してくれる機能あったら素敵だと思うのですが、Feature requestファイルしてみようかな。ダイブプラナーは非常に簡易な物ですが、この辺は「ユーザーはどうせ他のアプリで計算して潜水計画作るでしょ」と割り切ってるように思います。実際私もそうしているのであまり不満はありません。

あまりこの手のダイブコンピューターの日本語での情報が無いのでちょっと書いてみましたが、これを書いているのは本数100本未満のダイバーなので悪しからず。


追記:fw v1.07はOCモードでガススイッチが出来ない等バグ満載の様です。既にliquivisionのサイトでは1.06しかダウンロード出来なくなっています。fw v1.13が08/22の週にリリースされる予定の様です。

追記2: fw v1.11が1.13の代わりにリリースされました。v1.07での問題は解決した様子。

追記3: 一本目の電池は9ダイブ程で死んでしまいました。買ったばかりで色々遊んでいたのも一因だと思いますがそれを考慮してもバッテリーの持ちは良くないですね。電池(ER14335)は国内での通販で入手できました。1本700円程でした。

追記4: 現行のXeoはバッテリーホルダが変更になりました。新しいXeoについてはこちらをご参照下さい -> 新しくなったXeo