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NTB エクスペディションイーグル: キャンピングカー用にLiFePO4(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)の生セルとJK BMSで24V304Ahのバッテリー組んでみました。

キャンピングカー用のサブバッテリーを生セルで組んでみる事にしました。

去年の秋に注文した日本特殊ボディー(NTB)のエクスペディション イーグルが6月に納車されました。オプションにリチウムサブバッテリーはあったのですが、容量の割に高額だったのと、バッテリー以外に変更される物は無いとの事だったので自分で後から交換する事にしました。LiFePO4のバッテリーに換装するのに、AmpereTime(現LiTime?)等から販売されている様な既に組まれた状態の物を購入する方法もありますが、低温保護機能やヒーターの付いたモデルが12V用しかなく、容量やサイズの条件等を考えるとより柔軟性が高い生セルから組む方法を選択しました。

LiFePO4の生セルはEVEの304Ahをアリババで購入

まずは生セルです。最初に迷うのが何処から購入するかだと思います。AliExpressやAlibabaで販売業者は沢山ありますが適当に選んで発注するのも心配です。今回はバッテリーの事を調べていた時によく見ていた「The Off-grid Grage」というYoutubeチャンネルの方が紹介されていた業者さんから購入する事にしました。
親切に購入等の情報を公開しているウエブページを提供してくれています。
off-grid-garage.com
このページの中にあるEEZ Batteryという業者さんからGrade A、6000サイクルを謳っているEVEの304Ahのセルを購入する事にしました。日本からの注文だとこのサイトからでは直接注文出来ず、別途送料を含んだ見積もりをもらい、最終的にはAlibaba経由で注文するという流れでした。見積もりはEEZ Batteryのサイト内にあるチャットでお願い出来ました。

セルはひと月ほど到着

注文したのが6月21日で、発送されたのが7月7日、到着したのが7月21日でした。ちなみに価格はEVE 304Ahのセル8本でUS$968(1本あたりUS$121)、送料がUS$431でした。正直これがこのセル単体の価格として高いのか安いのか分かりません。みなさん到着後は各セルの電圧測っているようなので、真似して自分も測ってみました。

www.youtube.com

各セルには上面にバーコードがあります。このバーコードを確認してみたい場合はこのサイトでデコード出来るようです。試しにやってみたところ、正しくメーカーやモデル、生産日が表示されました。生産日は03/Jun/2023となっていたので出来立てですね。
www.gobelpower.com

BMSはJK BMSを選択


バッテリーを生セルから組むにあたって次に必要なのはバッテリーマネージメントシステム(BMS)です。BMSはJK-BMS(Jikong Battery Management System)の低温保護機能のが付いていて、ヒーターの接続にも対応しているB2A8S20Pというモデルを選択し、AliExpressで購入しました。アクティブバランサーも内蔵しています。Continueus Currentは充電/放電共に200Aです。
購入先のURLはこちらです。: https://ja.aliexpress.com/item/1005004220673099.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.11.f166585a6AGvmi&gatewayAdapt=glo2jpn

木箱を作ってバッテリー組みました。


箱はHomac(ホームセンター)で買ってきた安い木の板で作りました。底には30cm x 35cmのヒーターを仕込みました。ヒーターの写真を取り忘れてしまったのですが、ヒーターもAliExpressで購入しました。購入先のURLはこちらです:
https://ja.aliexpress.com/item/1005004051777634.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.5.f166585a6AGvmi&gatewayAdapt=glo2jpn

バッテリー自体を組むのは簡単です。今回は24Vのバッテリを組むので8S(セル8本直列)になります。特に特別な組み方みたいなのもなく、単純にセル8本をセルに付属していたフレキシブルバスバーで直列に繋ぐだけです。

[- 1本目 +][- 2本目 +][- 3本目 +][- 4 本目+][- 5本目 +][- 6本目 +][- 7本目 +][- 8本目 +]

BMSには黒い線1本と赤い線9本が出ているケーブルが付属しています。この黒い線を1本目のセルの(−)に、黒い線の直ぐ隣の赤い線を(+)に繋ぎます。次の赤い線を2本目のセルの(+)に、更に次の赤い線を3本目のセルの(+)にといった具合に8本目まで繋いでいきます。最後に残った赤い線を8本目の(+)に繋いで完了です。12Vの場合は4S(セル4本直列)なので、4本目まで赤い線を繋いだら、4本飛ばして最後(一番端)の赤い線を4本目のセルの(+)に繋いで完了です。最初の黒い線と最後の赤い線がBMSの電源に使用されていて、間の8本の赤い線がバランシング用なんでしょうね。
後は1本目のセルの(−)とBMSの「B-」を繋いで最低限の配線は完了です。BMSの「B-」への接続は14sqのケーブルを使いましたが、ここには7AWG(10.55sq)以上のケーブルを使えば良さそうです。
配線に関してJK BMSのマニュアルには詳しく書かれておらず、繋ぎ方等は前出の「The Off-grid Grage」のこちらの動画で予習しました。

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配線が終わったら、BMSにスイッチを繋いでBMSの電源を入れます。購入先によってはスイッチが別売りの場合もあるようなので、購入時に確認しておいた方がよいかと思います。スイッチが無くてもバッテリー電圧以上の電圧(バッテリーが充電されるのに十分な電圧)で電流を流せばBMSの電源が入りますが、スイッチはあった方が便利です。

次にiPhoneもしくはAndroidのアプリをイントールして立ち上げBMSに接続します。Bluetooth接続の際のディフォルトのパスコードは1234です。アプリからBMSに接続したら、「SETTINGS」にある「VERIFY PWD.」をクリックしてディフォルトのパスコード123456を入力し、LIFEPO4のプリセットを選びます。「Cell Count(セルの数)」や「Battery Capaciry(セルの容量)」を変更して一先ず完了です。

生セルからバッテリーを組むという作業はここまでなので簡単です。ただ線繋げるだけです。

パワーサプライや充電機を繋げば充電を開始出来ます。手持ちでパワーサプライや充電機がなかったので、安い直流安定化電源を検証用にアマゾンで購入しました。この作業終わると出番が無くなりそうでちょっともったいない気もしますが、何かと役にたちました。このモデルはメインの電源スイッチの他に、出力のオンオフのスイッチが付いていて使いやすいです。

ヒーター用に可変スイッチング電源を用意


今回はヒーターを取り付けるので、追加の作業が残っています。JK BMSのヒーター用の端子は3Aまでしか流せません。ヒーターの抵抗値を図ってみたら1.6Ωと低く、24Vの電気を流すと3Aを余裕で超えてしまいます(I = 24V / 1.6Ω = 15A)。
JK BMSにヒーターを取り付ける情報があまり見つからず、その中で役に立ったのがこちらの動画でした。

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この動画ではJK BMSからの緑の線をMOSFETを使ったソリッドステートスイッチのオンオフの切り替えの信号に使ってバッテリーに繋げた12Wのヒーター(2個)のオンオフを制御しています。私が今回購入したヒーターは24Vで400Wとこの方法は使えませんが、繋ぎ方等参考になりました。色々と考察した結果、可変スイッチング電源で電圧を絞る事にしました。アマゾンに良さげな可変式のDCDCコンバーターが見つからなかったので、秋月電子で可変スイッチング電源のキットを購入する事にしました。半田ごてもハンダも無かったのでアマゾンで白光の半田ごてセットを購入しました。こういうキット作るの何十年かぶりです。


BMSからの緑の線を可変スイッチング電源の入力側の(−)に接続し、入力側の(+)は8つ目のセルのプラスに接続しました。出力側をヒーターに接続して配線は完了です。

BMSのアプリで「SETTINGS」から「Charge UTP(低温保護の閾値)」を5℃に、「Charge UTPR(低温保護からの復帰の閾値)」を10℃に設定しました。「CONTROL」からヒーターを有効化してから、温度センサーを氷水に浸けて検証してみました。期待通り温度が5°を下回るとチャージが止まり、ヒーターがオンになりました。ヒーターを安定化電源電源に直接繋いで検証した際には、6Vでも40℃以上にはなったので、可変スイッチング電源の出力はとりあえず6Vに設定しました。BMS側の電流出力は1A未満です。

一応完成です。

箱にターミナルやらヒューズやら取り付けて一応完成しました。チャージの検証はやったのですが、ディスチャージの方は残念ながら殆出来ていません。

蓋を付けるか迷ったのですが、とりあえず箱の上面はホコリやゴミが入らないようにカーボンフェルトを被しておきました。ちなみに箱底側はヒーターとバッテリーの間に、箱の内側は側面3面にカーボンフェルトを貼ってあります。あとセルとセルの間にもカーボンフェルトを挟んであります。

BMSの設定

実際にキャンピングカーのバッテリーを換装する際には多少変更するかもですが、現在のBMSの設定はこの様になっています。
設定項目はUTPやら、OCPやら略されていますが、何となく単位と設定値でunder temperature protectionかな?とかover current protectionかな?という具合に想像が付きます。SCPってのもありましたが、surge current protectionですかね?

使用した工具やパーツ

今回使用したその他のパーツや工具は以下のとおりです。ほぼほぼアマゾンで揃えました。

実際に組んでみた感想

生セルからバッテリーを組む事自体は簡単でした。箱を作ったり、ヒーター取り付けたりが少々面倒くさかったぐらいです。BMSの設定もLiFePO4用の設定がプリセットで入っていて変更必要な項目も少なく比較的簡単だと思います。分からないところは取り敢えずディフォルトのままにしておきました。調べ物や、この手の作業がお好きな方ならお金もセーブ出来るし、工程自体楽しめてなかなか良いと思います。困る事と言ったら作業終わったら出番が無くなりそうな工具や機材が増えてしまう事ですかね。

最後に、バッテリーセル1個の重さが約5.2kg、8個で42kgです。箱やら何やらで45kg近くある気がします。エレベーターの無いアパートの4階で組んでしまったのでどうやって下ろそうか悩み中。20kgのバーベルプレート2枚分と考えるとそれほど重そうでは無いですが、実際持ってみると結構腰にきます…。半分バラさないといけないのかな…。組む時は設置の際のことも考えておいたほうが良いですね。